「 カルト・ヨーロッパ 48 」は、外国映画ソムリエ・北野義則が選ぶ、マニアでカルトなヨーロッパ映画厳選48作。
まさにカルト・ムービーそのものの狂気作品もありますが、 異色作、斬新技法、風変わりな作風といった広い意味でのカルトです。気になる作品があれば、ぜひチェックを！

評価は★ 10 点満点。作品自体の採点は★、カルト度は★で表示します。
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カルト・ヨーロッパ ４８

愛すべき女・女（め・め）たち
Le Plus Vieux Metier Du Monde

1966/フランス他

監督：ジャン＝リュック・ ゴダール 他

原始から未来の娼婦を描いた６話からなるオムニバス・コメディ。 ゴダール演出の未来編が特筆すべき出来映えで笑える。

赤い風船
Le Ballon Rouge / Albert Lamorisse

1956/フランス

監督： アルベール・ラモリス

街灯に引っ掛かっているところを少年に助けられた風船が、友達のように少年の後ろをどこまでもついていく夢いっぱいの寓話。セリフはわずか一言だけの異色作。名作として語り継がれている。

悪魔のはらわた

Flesh For Frankenstein / Paul Morrissey

1973/イタリア・フランス

監督： ポール・モリセイ

内臓嗜好癖があり、実の妹と結婚しているフランケンシュタイン博士が、新人類創造に意欲を燃やすという、アンディ・ウォーホル製作の倒錯劇。男女の人造人間同士を性交させ子作りを計画するが、男にゲイの頭を縫いつけたために失敗するという狂気ぶりが笑える。DVDタイトルは原題通りの「フレッシュ・フォー・フランケンシュタイン」で、こちらの方がしっくりくる。

穴

Le Trou / Jacques Becker

1960/フランス

監督： ジャック・ベッケル

元ギャングのジョゼ・ジョヴァンニ監督の体験を、ジャック・ベッケル 監督が映画化。獄房に閉じ込められた４人の囚人たちが、脱走に向けてひたすら穴を掘る。ただそれだけの映画。傑作だ。

ありふれた事件
C’est arrive pres de chez vous/Remy Belvaux, Benoit Poelvoorde
1992 / ベルギー

監督： レミー・ベルボー ／ ブノワ・ポールブールド

 
 
偏執狂の主人公を一切の感傷を排して描写。カメラに殺人鬼の共犯者を演じさせ、ブラックユーモアを横溢させるさまは一見の価値あり。まるで「事実」であるかのような映画だ。

アンナと過ごした４日間

Cztery noce z Anną / Jerzy Skolimowski

2008/ポーランド他

監督： イエジー・スコリモフスキー

女性に不器用な中年の農夫が、向かいの寮に住む看護婦アンナをのぞき見する４日間。問題児スコリモフスキーが本領発揮。

イディオッツ
The Idiots / Lars von Trier

1998/デンマーク
監督： ラース・フォン・トリアー

街なかで白痴のふりをして暴れる集団に怒っていた女性が、やがてその魅力に取りつかれ、愛する人の前で白痴を演じ続け、最後に夫に張り倒されるという カルト 極まりない映画。

ヴェルクマイスター・ハーモニー
Werckmeister Harmonies / Tarr Bla

2000/ハンガリー・フランス
監督： タル・ベーラ

ハンガリーの鬼才タル・ベーラが、モノクロームの映像で紡ぎ出した悪夢のようなバイオレンス・ファンタジー。全編145分にカット変わりが36ヶ所しかなく、その緻密な計算に驚愕する。

海を渡る ジャンヌ
La Vieille Qui Marchait Dans La Mer / Laurent Heynemann

1991/フランス

監督： ロラン・エヌマン

若い男を追い続ける年老いたアバズレ女を大女優 ジャンヌ ・モローが好演している（セザール賞主演女優賞を受賞）が、そのヒロイン自身がジャンヌ・モローの私生活と交錯してしまうあたりがカルト的であり、怖い。タイトルの「 ジャンヌ 」は何とジャンヌ ･モローのことである。